画像:今日の美しい青空
JAZZの話です。
大昔、高校生の頃だったと思います。クリフォード・ブラウンのトランペットを初めて聴きました。
その時は衝撃でしたね。
そもそもJAZZという音楽との出会いは父親を介してです。
彼は音楽とオーディオのマニアで、部屋からは毎晩、休日は朝から爆音でクラシック音楽と、時にはJAZZの大音響が鳴っていたのです。
父親は大のJ・Sバッハのファンで、部屋からはバッハ他バロックの音楽がいつも聴こえてきて、それはそれで心地よいものでした。音量はすごかったですが、、
ところが、たまに聞いているJAZZの音が、私にはただの騒音で、中学生の頃勉強もあまりしていないくせに、父に向かって「JAZZが鳴ってると全く勉強ができなくなる」と言って、小さい音にさせていました。
そんな中で、ある日、Miles Davisのバグス・グルーブが父のターンテーブルの上に乗ったままになっていて、なぜかそれを聴いてみようと思ったのです。
それが、私のその後の人生を変えました。
それまでの、ただの騒音だったものが、翻ってとんでもなく素晴らしい世界に変わってしまったのです。
Milesのトランペット、Miltのビブラフォン、そして、なんて変な弾き方なんだ、というセロニアス・モンクのピアノ、全てが新鮮でブワーッと吹き飛ばされるような感じだったのです。
パーシー・ヒースの正確なウォーキングベース、スティックを落とす音まで新鮮なケニー・クラークのシンバル音。
それから、JAZZにのめり込み、父親に意見するようになるまで、あっという間でした。
そんな中で、私のJAZZ探求人生がスタートしたのです。
その後もたいして熱が入らなかった受験勉強時代が終わり、思いっきりJazzが聞けるという事で、ずっと聞きたかったクリフォード・ブラウンのアルバム(もちろんLP)を買った。
私が初めて聞いたブラウニー(ブラウンの愛称)のアルバムが「Clifford Brown and Max Roach at Basin Street」。
1曲目の「恋とは何でしょう」のテーマが終わるや、いきなりのブラウンのソロで、吹っ飛んでしまった。
何て事だ。自分は、こんな音楽を聴かずにこれまで生きて来たのか。
Jazzの人たちとの出会いでは、たくさんの衝撃があるがこれはやはりトップクラス。
その後クリフォード・ブラウンのアルバムは学生時代にすべて買う事になったが、何10年経っても一番好きなアルバムはこの「ベイズンストリート」だ。
理由は、ブラウンがすばらしいのは当たり前なのだが、私はロリンズの参加と、リッチー・パウエルのナイスな曲と、その編曲が光っているからだと思っている。
ブラウン=ローチ クインテットのロリンズはいまいち冴えなくて前任のハロルド・ランドの方がなじんでいるなんていう人がけっこういるが、何を言うか、って思う。
ロリンズのテンションが桁違いでしょう。
私は、4曲目以降の流れが好きだ。
04. パウエルズ・プランセス
05. タイム
06. ザ・シーン・イズ・クリーン
07. ガルトルーズ・バウンス
08. フロッシー・ルー
特に、バッピッシュなテーマが楽しいザ・シーン・イズ・クリーンとガルトルーズ・バウンスはモダン・ジャズの名曲だと思う。作曲者リッチー・パウエルのセンスが光る。
ダメロン作編曲のフロッシー・ルーもいいテーマだ。
リッチーのピアノは他のパウエル派と言われる人たちとは一線を画す。
音選びが厳しくてとてもバップで、やっぱり兄貴Bud Powellの直接指導が感じられるのだ。
リッチーすごいです。
音楽ファンなら、クリフォード・ブラウンの音楽と出会うか出会わないかで、人生になにがしかの影を残すと思う。
ブリリアントという表現がぴったりな彼のトランペットだが、その人柄を伺わせる、健康的な温かさ。
クリフォード・ブラウンはたくさんの同時期のJAZZメンたちからも愛され、多くの(全てのと言っていいだろう)後進JAZZトランペッターに影響を与えたでしょう。
写真:「Clifford Brown and Max Roach at Basin Street」